【仕訳一覧】法人の税金に関する経理仕訳一覧表

会計・税務

経理担当者なら一度は悩む、税金の仕訳。

単純に種類が多いだけでなく、その管轄や納付方法、損金算入時期などバラバラで、非常に分かりづらいですよね。

ここでは、税金の仕訳に頭を悩ませている経理担当者向けに、主要な税金の仕訳を一覧表形式でご紹介していきます。

税金を納付したときの経理仕訳一覧表

税金管轄納付期末仕訳納付時仕訳損金算入
法人税決算から2ヶ月(法人税等) 
/ (未払法人税等)
(未払法人税等) 
/ (普通預金等)
不算入
法人住民税地方決算から2ヶ月 (法人税等) 
/ (未払法人税等)
(未払法人税等) 
/ (普通預金等)
不算入
地方法人税決算から2ヶ月 (法人税等) 
/ (未払法人税等)
(未払法人税等) 
/ (普通預金等)
不算入
法人事業税地方決算から2ヶ月 (法人税等) 
/ (未払法人税等)
(未払法人税等) 
/ (普通預金等)
納付時に算入
事業所税地方決算から2ヶ月(租税公課) 
/ (未払税金)
(未払税金) 
/ (普通預金等)
納付時に算入
消費税決算から2ヶ月(仮受消費税)
/ (仮払消費税)
 (未払消費税)
(未払消費税) 
/ (普通預金等)
不算入
※納付差額は
決算期に算入
固定資産税地方年4回なし(租税公課) 
/ (普通預金等)
納付時に算入
自動車税地方毎年5月末なし (租税公課) 
/ (普通預金等)
納付時に算入
※(注1)勘定科目名は、会社によって名称の異なる場合があります
※(注2)消費税の仕訳例は、税抜経理の場合です

主要な税金とその取り扱いについて、簡単に一覧表形式でまとめました。

これらの税金は、例外規定や複数の経理処理方法から選択可能なものも存在するため、あくまで原則かつ主流となる取り扱いを表に記載しております。

各税金の詳細については、以降の文章で触れていきます。

法人税・法人住民税・地方法人税

法人税・法人住民税・地方法人税は、法人の所得の額に応じて課税される税金です。

それぞれ、法人税⇒国税法人住民税⇒地方税地方法人税⇒国税となっています。

地方法人税は「地方」という言葉が名称に含まれていますが、地方税ではない点に注意が必要です。

法人の所得に応じて税額が決定されるという性質上、損金には算入されません

損金に算入してしまうと、「所得から税額が決定する」⇒「その税額が損金となり所得が変わる」⇒「再度税額を計算しなおす」⇒「再度所得が変わる」⇒…となってしまい、税額計算に影響を及ぼしてしまうからです。

仕訳計上の方法はいくつかありますが、期末時点で未払計上をおこなうのが一般的です。

なお、一定以上の規模の法人では中間納付が義務づけられる場合があります。

中間納付をおこなった場合には、その金額を「仮払法人税等」として計上し決算時に取り崩すか、あらかじめ「未払法人税等」として計上をしておくと良いでしょう。

法人事業税

法人事業税は、法人の所得や資本金の額に応じて課税される地方税です。

法人が居を構える地方自治体から受けるさまざまな公共サービスについて、その費用の一部を負担するという意味で課税がなされており、地方税に該当します。

法人の資本金額によっては「外形標準課税」という税金が加算され、法人の事業所面積や資本金額に応じて課税されることとなりますが、基本的には所得の額に応じて課税される税金です。

法人税等と同じく所得の額に応じて課税される税金ですが、損金算入が可能となっています。

ただし、損金算入時期は税務申告書を提出した日の属する期≒納税したタイミングとなります。

もし、当期に損金算入できてしまうと、法人税等と同じように当期の税額計算に影響を及ぼしてしまうからです。

仕訳計上は期末時点で未払計上をするのが一般的で、勘定科目は「法人税等」を使用する場合のほか、「租税公課」を使用する場合もあります。

また、損金算入時期と合わせるために、納税時に費用計上をおこなう場合もあります。

事業所税

事業所税は、一定以上の規模の会社であり、なおかつ一定以上の規模の都道府県に居を構える場合にのみ課税される地方税です。

政令指定都市などの人口が多い都道府県でなければ対象とはならないため、ご存じでないという方も多いのではないでしょうか。

なお、法人事業税と名前がよく似ているため混同されがちですが、性質は全く異なります。

損金算入可能な税金となっておりますが、損金算入時期は法人事業税同様税務申告書を提出した日の属する期≒納税したタイミングとなるため、未払計上をしてもその時点では損金として算入できません。

仕訳計上は期末時点で未払計上をするのが一般的ですが、損金算入時期と合わせるために、納税時に費用計上をおこなう場合もあります。

消費税

消費税は、商品の売買やサービスの提供等をおこなった際に、取引金額に付随して課税される国税です。

消費税には地方消費税という地方税が含まれていますが、納付時には国税扱いとして管轄の税務署にまとめて納税します。

仕訳処理は「税抜経理」「税込経理」どちらを採用しているかで大きく異なってきます。

よく用いられる「税抜経理」であれば、日々の仕訳計上時に「仮払消費税」・「仮受消費税」の金額が積みあがっていきますので、期末時にそれらを相殺し、借受が多ければ「未払消費税」、仮払が多ければ「未収消費税」を計上します。

なお、この相殺差額と実際の申告書上の納付額が端数処理等の原因により一致しない場合は、「雑収入」勘定などで処理をし、当期の損金・益金に算入することとなります。

固定資産税

固定資産税は、土地や建物といった固定資産を所有している場合に課税される地方税です。

償却資産税という名称で憶えている方も多いと思いますが、実は固定資産税=償却資産税ではなく、正確には固定資産税のなかに償却資産税が含まれているという表現になります。

納付期限は都道府県により異なりますが、年4回の分納が可能となっています。

仕訳計上は、納税時に「租税公課」勘定で費用計上するのが一般的です。

損金算入可能な税金となっており、仕訳と合わせて納税時に損金算入をおこなう場合が多いですが、原則は固定資産税額の決定通知がされた日の属する期で一括して損金算入してよいことになっています。

自動車税

自動車税は、自動車を所有している場合に課税される地方税です。

法人においても、法人名義で社用車を所有している場合は、自動車税の納付書が送られてくることがあるでしょう。

税額は自動車の総排気量などによって決定され、毎年5月末までに納付する必要があります。

仕訳計上は固定資産税同様、納税時に「租税公課」勘定で費用計上するのが一般的です。

損金算入に関する取り扱いについても、固定資産税とおおむね同様となります。

まとめ

よく登場する税金についてご紹介しました。

今回触れた内容以外にも、企業規模によって取り扱いルールが異なる場合や、延滞税や還付加算金といった、税金に付随するものも発生してきます。

原則を理解したうえで、細かな内容についても理解を深めていくようにしましょう。